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神道に『法事』はない?!知っておきたい神式の追悼儀礼『霊祭・式年祭』
「亡くなった方を供養する行事といえば『法事』を思い浮かべる方が多いでしょう。でも、神道では『法事』という言葉は使わないってご存知でしたか?
『え、じゃあ神道では故人を供養しないの?』と疑問に思った方もいるかもしれませんね。
ご安心ください。神道にも故人を偲び、感謝を捧げる大切な儀式があります。今回は、なぜ神道に『法事』がないのか、そして神道での追悼儀礼とは一体どんなものなのかを、仏教との違いも交えながら分かりやすく解説します!」
神道に「法事」がないのはなぜ?死生観の違いを解説!
まず、なぜ神道では「法事」という言葉を使わないのか、その根本的な理由から見ていきましょう。それは、神道と仏教の死生観が大きく異なるからです。
仏教の死生観と「法事」の役割
仏教では、故人は亡くなった後、生前の行いによって「極楽浄土」を目指すとされています。法事(法要)は、遺族が故人の冥福を祈り、故人が無事に成仏できるよう供養するための儀式です。読経やお線香、お焼香などを行うことで、故人の魂をより良い世界へ導く手助けをすると考えられています。
神道の死生観と「死は穢れ」の概念
一方、神道では、人は亡くなると「御霊(みたま)」となり、やがて家の守護神(祖霊)となると考えられています。子孫を見守り、子孫の繁栄をもたらす存在になるのです。
しかし同時に、神道には「死は穢れ(けがれ)である」という考え方があります。この「穢れ」は「気枯れ」、つまり生命力が一時的に失われた状態を指し、清めるべきものとされています。そのため、神聖な場所である神社に穢れを持ち込ませないという理由から、お葬式やそれに続く追悼儀式は、神社ではなく自宅や葬祭会場、墓地などで執り行われるのが一般的です。
神道で行われる「法事」にあたる追悼儀礼とは?
神道では「法事」とは言いませんが、故人を偲び、感謝を捧げる大切な儀式は存在します。これらは主に「霊祭(れいさい)」や「式年祭(しきねんさい)」と呼ばれます。
霊祭(れいさい)
故人が亡くなってから50日目までの間に行われる一連の儀式を指します。仏教の忌日法要にあたります。
- 翌日祭(よくじつさい):葬儀の翌日に行われ、無事に葬儀を終えたことを故人に報告します。
- 十日祭(とおかさい):故人が亡くなってから10日目に行われます。仏教の初七日にあたります。
- 二十日祭、三十日祭、四十日祭:これらは十日ごとに行われますが、近年は遺族のみで簡略化されることも多いです。
- 五十日祭(いかさい/ごじゅうにちさい):仏教の四十九日法要にあたる、最も重要な霊祭です。この日で「忌明け(いみあけ)」となり、故人の御霊が家の守護神として落ち着くと考えられています。この際に、故人の魂を宿す「霊璽(れいじ)」(仏教の位牌にあたるもの)を、祖先の霊を祀る「御霊舎(みたまや)」(仏教の仏壇にあたるもの)に合祀する儀式も行われます。
式年祭(しきねんさい)
五十日祭以降、故人の命日や節目の年に行われる儀式を指します。仏教の年忌法要にあたります。
- 一年祭(いちねんさい):故人の亡くなった翌年(満1年)に行われます。仏教の一周忌にあたり、親族や故人と親しかった方を招いて盛大に行われることが多いです。
- 三年祭(さんねんさい):故人が亡くなってから満3年目に行われます。
- 五年祭、十年祭、二十年祭、三十年祭、五十年祭:十年祭以降は、10年ごとに執り行われることが一般的です。
- 「まつりあげ」:一般的に五十回忌の五十年祭をもって「まつりあげ」とし、個人の御霊は祖先の集合体である祖霊に合わさると考えられます。
参列する際のマナーと仏教との違い
神式の追悼儀礼に参列する際は、いくつか注意すべきマナーがあります。
- 服装: 基本的に仏教の法事と同じく、喪服を着用します。
- 香典の表書き: 仏教では「御香典」と書きますが、神道では線香や香をたかないため、「御玉串料(おたまぐしりょう)」「御榊料(おさかきりょう)」などと書きます。
- 数珠: 仏具である数珠は必要ありません。
- お供え物: 米、酒、水、塩、故人の好物などを用意します。仏花は供えません。
- お悔やみの言葉: 「ご冥福をお祈りします」「成仏」といった仏教用語は避け、「御霊のご安らかならんことをお祈りいたします」などと伝えます。
- 玉串奉奠(たまぐしほうてん): 神道の儀式で特徴的な作法です。榊の枝に紙垂(しで)をつけた「玉串」を神前に捧げ、二礼二拍手一拝(拍手は音を立てない「しのび手」)を行います。
まとめ
神道では「法事」という言葉は使いませんが、故人を大切に偲び、感謝を捧げる「霊祭」や「式年祭」といった独自の追悼儀礼があります。
仏教とは異なる死生観に基づいているため、儀式の目的や作法にも違いがあることを理解しておくことが大切です。もし神式の追悼儀礼に参列する機会があれば、これらの違いを心に留めておくと良いでしょう。